平成26年10月18日(土)、珠洲市総合病院にて能登地区医師事務作業補助者意見交換会が開催されました。能登地区のみならず、県内10施設よりご参加頂き、実務者約45名での交流会となりました。
珠洲市総合病院 医長 佐々木誠医師より「医師事務作業補助者の目指すべき姿」と題し、チーム医療での医師事務作業補助者の役割や、制度新設の目的と意義、情報管理の重要性、医師事務作業補助者としての能力向上について講演がありました。医師事務作業補助者は資格制度が確立していないため医療知識を持たない状態で就業することが可能だが、業務上医療知識が不可欠であるということ、また医療情報の性質上、正確性や守秘義務など管理に細心の注意を要することなどを挙げ、今後の課題として個人が自覚を持ちスキルアップしていくことの必要性を説かれました。
「チームつばくろ朝の風景」では佐々木誠医師が医師事務作業補助者のために毎朝行っている小講義にみたて、肺疾患についての講義がありました。誤嚥性肺炎を例に、病名・症状を暗記するのではなく、病気を系統立てて考える方法を解説されました。講演の最後に、学ぶ過程は苦しいが、学ぶことによって仕事が充実し、ひいては自身の幸福につながると述べられました。
事例報告では、公立羽咋病院 総務課兼診療支援室 主任 竹田美穂さんより「医師の事務作業をアシスト~チーム羽咋病院の一員として~」の発表がありました。医師事務作業補助者の配置・体制については3チーム制となっており、月1回室長・主幹・チームリーダーによる定例会議を開催し業務の改善点を話し合っているとの報告がありました。研修・勉強会については、新規採用者に医師・コメディカル・事務部門の担当者による院内研修を実施する他に、主治医意見書の記載方法などの勉強会を開催しているとの報告がありました。実務者へのアンケートでは全員がやりがいを感じているが、業務で困っていることがあるとの回答やスキルアップを望む回答が多く、現状の課題としては勤務体制の調整と共に継続的教育体制を構築する必要があると述べられました。また次年度に文章作成支援システム導入予定であり、システムに使われることなく書類作成業務の効率・精度向上を図っていきたいと述べられました。
実践研修として、珠洲市総合病院 医師事務作業補助者 佐藤真紀さんより「保険会社の診断書代行作成時注意すること」について発表がありました。「株式会社かんぽ生命保険」の「入院・手術証明書(診断書)」を使用し、どのように作成していくかを項目順に解説して頂きました。「既往歴」と「既往症」、「前医」と「紹介医」の違いや、悪性新生物の欄の記入方法など、作成時に迷いやすいと思われる項目については特に詳しく解説して頂きました。実際の代行作成業務につながる内容であり、理解を深めることができました。
その後、珠洲市総合病院 医療情報管理係 係長 三上豊子さんの司会により、事前アンケートの結果報告と、意見交換が行われました。「文書代行作成の運用方法」、「複数回の入院や他疾患を発症した場合の証明期間」等について意見交換がありました。
書類の内容に関わることについては、多賀千之医師(日本医師事務作業補助研究会石川県支部代表世話人)より、意見交換をするよりも保険会社の方から回答を得ることが望ましいと助言があったため、事前アンケートの結果報告を中心に話が進められました。
各病院より感想を頂いたところ、他院の取り組みを参考に改善していきたいという意見、個々のスキルアップを図りたいという意見、受け手が何を求めているかを考えて仕事をしたいという意見が上がりました。
最後に、日本医師事務作業補助研究会 石川県支部長 越後加代子さんより関連報告がありました。医師事務作業補助研究会では教育を重要課題の一つと考え、実務能力向上とボトムアップを目指し活動に取り組んでいます。次回11月22日に金沢市で行われる教育セミナーでは、テーマを「受け手から学ぶ」として、それぞれの業務に関わる多職種が何を求めているかを知ると共に、業務に対する知識と理解を深め、日々の実務に役立てることを目的としているとお話がありました。
今回の意見交換会を通し、他院の取り組みに刺激を受け、モチベーションの向上につながったのではないかと思います。佐々木誠医師の講演から学び続けることの大切さを感じた方も多いと思います。医師事務作業補助者の業務が確立されるに伴い、医師からの信頼度も上がり、ますます必要とされる存在になってきています。共に学び、業務の発展に努めていきましょう。
主催病院 珠洲市総合病院