NPO法人 日本医師事務作業補助研究会
文字サイズ
サイト内検索

第4回宮崎地方会 | 日本医師事務作業補助研究会

 平成24年12月1日-2日、「NPO法人日本医師事務作業補助者研究会第4回宮崎地方会」が日南市にて開催されました。今回は、日南市で毎年開催されている事務職員向けスキルアップセミナー(第6回花立セミナー)との共同開催で2日間合宿形式の研修を企画いたしました。「合宿」という前例のない地方会でしたが、宮崎県内はもとより、千葉、広島、沖縄、長崎、福岡、熊本、鹿児島など県内外から64名の参加者が集まり盛会となりました。


研修1日目は、4名の各お立場でのご講演と、参加者全員によるグループワーク。(in県立日南病院 )

研修2日目は、実務者からの要望が多い病理の講義と、3医療機関からの実践報告。

そして最後は、講師及び参加者の総合討論。(in ホテルジェイズ日南リゾート)


医師事務作業補助者 実務者

 まずは、矢口理事長の講演で始まりました。

 「医師事務作業補助者の必要性」を、厚生労働省が行った「病院勤務医の負担軽減の状況調査」の報告書から、医師事務作業補助者の必要性を検証した上で、「医師事務作業補助者はこんなに期待されている職種なのです!」と力強いメッセージのこもったお話をいただきました。



医師事務作業補助 研究者

 次に、研究会顧問であり、研究者でもある瀬戸先生(東京医療保健大学)の講演でした。実は、瀬戸先生は、ご多忙にも関わらず過去の地方会も含め「皆勤」であるということで、法律や通達など制度的なことやこの「職種」をとりまく背景をグローバルな観点でお話いただいていますが、ここ数年で「医師事務作業補助者の段階」が少しずつ変容していることを「世代」という言葉と図表で分かりやすくご説明いただき、職種として確立されつつあることを実感しました。また、実務者が着任して一定の時間を経過すると必ずぶち当たる医療知識の壁や業務内容の壁は、現時点では実務者自身が試行錯誤しながら、こういった研修会の中で自己研鑽していく方法が現実的なのかと感じました。


医師事務作業補助研究 医師

 続いて、研究会顧問の佐藤先生(金沢脳神経外科病院長)より、医師の立場から医師事務作業補助者への期待をお話いただきました。金沢脳神経外科病院では脳神経外科・常勤医師が6名で、救急搬送723件/年・手術件数445例/年(2011年度実績)を行われており、そこには、矢口理事長をリーダーとする「医師事務作業補助者」の方々が柔軟かつ前向きに業務に取り組まれる姿が映し出されていました。そして「医療専門職中心のチーム医療から組織横断的、多職種協働のチーム医療の要に!」というエールをいただきました。「医師が、全員佐藤先生みたいだったらいいのになあ」と感じたのは、私だけではなかったかと思います(笑)。


医師事務研究 医師

 講演の最後は、今田先生(黒部市民病院関節スポーツ外科部長)から、黒部市民病院の医師事務作業補助者導入の経緯と効果についてのお話。講演の間でひょっこり現れる「女神さま」「悪の組織に立ち向かう」という言葉に、会場内からは笑いが尽きませんでした。その正体は、参加者の特典としておきたいのでここではお書きしませんが、黒部市民病院の「女神」たちの活躍ぶりを、アンケート結果や時間・費用という客観的な視点から面白くご紹介いただき、参加者たちは「女神」を語る医師に勇気と元気をもらいました。


医師事務作業補助者 グループワーク1

 そして、講師や参加者全員によるグループワーク。

 「医師事務作業補助者をとりまく課題とその解決に向けて」というテーマでKJ法と二次元展開法を用いて問題を抽出し解決法を考えるという作業をおこないました。宮崎県支部代表世話人の木佐貫先生(宮崎県立日南病院医 臨床検査科・病理診断科部長)より、まずKJ法と二次元医師事務研修会 KJ法医師事務研修会 2次元展開法展開法についてレクチャーがあったのですが、とても分かりやすく一気にグループワークやる気モードに!座学から始まったはずなのに、いつも間にかみんな立ち上がって、現場の声や想いを話し合っていました。KJ法による課題抽出では、医師や看護師とのコミ医師事務作業補助者 グループワーク2医師事務作業補助 グループワーク3医師事務 グループワーク4医師事務作業補助者 グループワーク5ュニケーションの問題(特に医師と)や教育の問題、人材育成の問題、雇用形態、医学知識不足などの問題が抽出され、その中でも医師とのコミュニケーションの悩みが多く挙げられていました。ここでも率直な実務者の意見に、とくに医師の佐藤先生や今村先生が「うんうん」と頷きながら苦笑(!?)されていました。

 次に、抽出された問題を二次元展開法で分析。問題を「重要度」と「緊急度」で二次元の座標軸上に展開して考えてみました。万国共通用語ではありませんが、やはり「医師とのコミュニケーション」や「医療知識」が解決すべき優先度の高い課題でとして挙げられていました。解決案も多様で、中には「勉強場所をつくる(前向き!)」、「医師を褒める(その通り!)」、「自分たちの存在をアピールする(一番大切!)」といったユニークな意見もあり、大いに盛り上がりました。どちらかというと院内では発言機会の少ないと思われる医師事務作業補助者が積極的に発言し、30分位前に知り合ったばかりの人と前向きに話し合っていた姿に感動しました。


医師事務作業補助者 記念写真

 1日目の研修終了後、1日目の研修参加者と講師陣で記念撮影。このグループワークの熱気を帯びたまま、40名近くが合宿先のホテルジェイズ日南リゾートでの懇親会へ参加しました。懇親会も大いに(木佐貫先生曰く、予想以上に!?)盛り上がりましたが、レポートは写真のみとさせていただきます(笑)。


医師事務作業補助者 宮崎 地方会懇親会1医師事務作業補助者 宮崎 地方会懇親会2医師事務作業補助者 宮崎 地方会懇親会3医師事務作業補助者 宮崎 地方会懇話会

医師事務作業補助者 宮崎地方会 講師

 2日目は、木佐貫先生の「病理診断レポートの読み方」に関する講義からスタート。病理診断の現場を身近にみることは少ない医師事務作業補助者にとってこの講義は、緊急度・関心度の高い内容でした。「病理」を業務的な観点から実務を行っている様子や顕微鏡の写真を用いて具体的にご説明いただき、業務内容や過程を知ることで相応の日数を要する理由も理解できました。さらに、英文から和文に訳した病理レポート例の紹介があり、まさに「腑に落ちる」感が大きかったと思います。


医師事務作業補助者 実践報告1医師事務作業補助者 実践報告2

 次に実践報告として3医療機関から演題発表がありました。テーマは「医師事務作業補助者として働くこと~きらきら輝く職場をめざして~」であったのですが、まさにきらきら光る発表内容でした。古賀総合病院の中村恵子医師事務作業補助者 実践報告3さんは、「がん登録について」と題し、その業務内容や必要性・実務を行う上での問題点について実務者の視点から詳細に発表いただきました。続いて宮崎県立日南病院の間々瀬さやかさんが同院における実務について発表され、その中で病棟回診補助も行っているということでとても驚きました。潤和会記念病院の外赤幸菜さんからは、とくに代行入力や手術パス入力の業務紹介があり、インシデント対策として同職種でダブルチェックを行っているということでした。発表後の質疑応答の時間も会場から質問が多くあり、医療現場で業務を日々模索しながら奮闘する実務者の様子が垣間見えました。


医師事務 討論

 研修の最後は、講師・座長陣と実務者の総合討論でした。実務者が課題として挙げた医師とのコミュにケーションに関しては、「医師の特性を知ること」や「医師事務作業補助者から院内へ発信を行う」といった医師である講師陣からのアドバイスがあり、面白く感じたのと同時に納得感がありました。また、学会発表など対外的な発信もしていくことの重要性についてもお話もあり、来年あたりは医師事務作業補助者に関する演題発表も増えてきそうな予感です。実務者の「服装」についてもよく受ける質問なのですが、各医療機関の考え方により大きく違うことも分かりました。


第4回宮崎地方会 記念撮影

 2日目の締めくくりも、参加者と講師陣で記念撮影をパチリ!最後のご挨拶で「研修は楽しかったですか?」という問いに、会場から「はーい(笑)」「すごく楽しかったです!」という明るい声と多くの拍手をいただき、主催者側として大変うれしく感じた一瞬でした。

 講師や座長をお引き受けいただいた先生方、そしてご参加いただいた皆様に感謝いたします。来年、また仲間で集い楽しく学びましょう!



NPO法人日本医師事務作業補助研究会理事

宮崎県支部長 武田まゆみ

(潤和会記念病院 医事部)

※講師陣のお写真については、今回撮影したものではないことをお断りいたします。


研究会会員限定


医師事務作業補助研究会事務局


日本医師事務作業補助研究会フェイスブック