平成25年10月5日(土) 「NPO法人日本医師事務作業補助研究会 第1回大阪地方会」が、吹田市にある済生会吹田病院にて開催されました。当初150名を予定しておりましたが、200名を超えるお申し込みをいただきました。少しでも多くの方に参加していただきたいという事になり急遽定員数を増やし、最終的に264名の方に参加いただき盛会となりました。
午前の講演では、「各立場から医師事務作業補助者への期待」と題して、
に、お話いただきました。
最初に、府中病院院長の田中肇先生から「やりがいや誇りを感じ、多くの人から必要とされ、なくてはならない存在になってほしい。」と、私たち医師事務作業補助者に期待を込めてお話しいただきました。自分軸を作るために、しっかりと信念を持つことが大切であること、信念を持つためには他人の物差しで測るのではなく、自分の物差しで測らないといけないこと、チャレンジして、失敗を繰り返しながら進歩し強くなっていけばいいのだということなど、とても奥の深いお話しをしていただきました。医師事務作業補助者としてはもちろん、生きていく上でとても大切なことだと実感しました。
次にりんくう総合医療センター診療局長大野昭先生から、地域連携の基盤創りに医師事務作業補助者が重要であること、医師事務作業補助者の業務の価値が評価されるかは、医師の方向性提示に依存していることなどをお話しいただきました。MSがデーター収集に関わることで、診療の効率が良くなることはもちろん、そのデーターによって危険度の高い患者様によりきめの細かい診療が出来ることなど、例を挙げて説明いただきました。そして、ほやほやのアンケート結果もお見せいただきました。先生方の率直なご意見を拝見することが出来て、会場の皆さんは興味津々でアンケート結果でも大野先生のお話は非常に興味深かったと多くのご意見をいただきました。
最後は八尾市立病院薬剤師の小枝伸行先生です。先生は薬剤師ですが現在は企画運営課に籍を置いておられます。医師事務作業補助者に対して、薬剤師として期待すること、事務局として期待すること、事務・診療情報管理士として期待することなど、多角的な側面からお話しいただきました。薬(くすり)を逆さまにして読むと、“りすく(リスク)”になると言われ、会場からは「なるほど~」という声が聞こえました。くすりには、リスクが伴うので、入力ミスをしないことはもちろんのこと、正確な入力のためには基礎知識が必要であると言われました。実務者としては気を引き締めておかなければいけないところだと強く感じました。
午後の講演は、「医師事務作業補助者の現状と課題、将来」のテーマで
のお話から始まりました。
瀬戸先生のお話は、医師事務作業補助者の誕生経緯から始まりました。医師事務作業補助者の変遷を世代別にわかりやすく説明していただき、職種としてはまだ短く、歴史と言うほどのものはありませんが、これまでの経過が良くわかりました。現状での教育の難しさや、医師事務作業補助者の今後の在り方なども詳しくご説明いただきました。「医師事務作業補助者は、一人一人が主役である。研究会の中で成果や悩みを共有し、ともに職業を作り上げていきましょう。」と心強いお言葉をいただきました。
続いての工藤先生のお話は、“目からうろこ”のようでした。「原価とは病院の労働生産性をあげるために必須のもの」「費用は病院の経営効率化のために削減してもかまわないものを含む」と定義して、医師事務作業補助者は費用ではなく原価である、とお話されました。診療報酬の特性上、加算はいつか必ずなくなるので、削減されないために自己研鑽によるレベルアップを行い、病院にとって無くてはならない存在にならないといけないとエールをおくっていただきました。
午後の講演後半のシンポジウムでは、
と、題してお話していただきました。これら3つの病院は、比較的早くから医師事務作業補助を導入し、とてもうまくいっている病院です。これまでの経過から、苦労話や成功の秘話などをわかりやくすお話していただきましたので、会場の皆様との意見交換も活発なものになりました。人材育成と役割分担についてはいつも話題に上がるほど、重要視されている問題です。短い時間でしたが内容の濃いシンポジウムになったと思います。
次に事務局報告として、矢口理事長より「医師事務作業補助者の配置及び雇用形態の動向」についてのアンケート報告をいただきました。現時点では医師事務作業補助者に資格要件がないため、実務に従事している人数や実態などは明らかになっていない。それらを明らかにすることにより社会的ニーズに見合った人材育成が出来るようになり、より精度の高い医師事務作業補助を行う事が可能になるのではないかとお話されました。報告の最後には大阪府支部の活動に期待することとして、地域活動を活発に行い情報交換と連携強化を図って欲しい、そのためにみなさんで大阪での活動を盛り上げてくださいとお言葉をいただきました。皆様のご期待に応えることが出来るように頑張っていきますのでよろしくお願いします。
会も終盤にさしかかり、大阪支部報告として、西川支部長による大阪支部報告が始まりました。大阪支部の役員の紹介があり、大阪支部の設立への期待に応えられるよう、邁進していきたいとの事でした。医師事務作業補助という職種は院内での認知度が低いところも多いので、このような場で一人でも多くの仲間を作っていただきたい。そのネットワークを通して情報共有が出来るようになれば、どれだけの医師事務作業補助者が自信を持って仕事ができるようになるか計り知れないとのことでした。
来賓挨拶は金沢脳神経外科院長、NPO日本医師事務作業補助研究会顧問である佐藤秀次先生より、医師事務作業補助者の発展のためこれからも一緒に頑張っていきましょうというお言葉をいただきました。先生のそのようなお言葉は私たちにとってとても心強いものです。先生方の期待にお応えできるように頑張らなくてはと改めて思いました。
最後に、大阪府済生会吹田病院院長補佐、大阪支部世話人の黒川正夫先生より閉会の挨拶をいただき、第1回大阪地方会終了いたしました。
このような会を企画から運営に至るまで手掛けたのは始めてでしたので、この場をお借りして、不行き届きがありましたことをお詫び申し上げます。このような大きな会で司会を努めさせていただいたのも、もちろん始めての事でしたので緊張と不安でいっぱいでした。ですが、皆様のアンケートに「いい会だった」と書いてくださっているのを読んで、とても嬉しかったです。本当にありがとうございました。今回の反省点やアンケート結果を振り返り、一歩一歩進んでいきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
NPO法人 日本医師事務作業補助研究会
大阪府支部 事務局 和田 瞳
(大阪府済生会吹田病院 病歴管理室MSグループ)